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  1. 保護期間
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外国著作物の保護期間

1 ベルヌ条約による相互主義の原則

 ベルヌ条約は、7条(8)但書で、相互主義を許容しています。

 ベルヌ条約7条(8)を受けて、日本国現行著作権法58条は、相互主義を原則とすることを定めています。

著作権法58条

文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約により創設された国際同盟の加盟国、著作権に関する世界知的所有権機関条約の締約国又は世界貿易機関の加盟国である外国をそれぞれ文学的及び美術的著作権の保護に関するベルヌ条約、著作権に関する世界知的所有権機関条約又は世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の規定に基づいて本国とする著作物(第六条第一号に該当するものを除く。)で、その本国において定められる著作権の存続期間が第五十一条から第五十四条までに定める著作権の存続期間より短いものについては、その本国において定められる著作権の存続期間による。

 すなわち、外国の著作権法が保護する保護期間が日本の著作権法が保護する保護期間より短い場合、短い方の外国の保護期間しか日本国内でも保護されないことになります。

2 米国著作物に対する内国民待遇の例外

 著作権に関する条約としてはベルヌ条約が有名です。

 しかし、米国は国内著作権法の特殊性などから、長くベルヌ条約を批准しませんでした。

 米国は、ベルヌ条約を批准するまで、多くの国と2カ国間条約を結んできました。

 1905年(明治38年)11月10日に調印され1906年5月11日に日本で公布された日本及び米国間の、「日米間著作権保護ニ関スル条約(以下、「日米著作権条約」という。)」は,日本と米国の間に結ばれた著作権に関する2か国条約です。

 このように、米国とは特殊な著作権条約が結ばれていた為、他国とは異なる法律関係が発生する場合がありますので、注意を要します。

 いずれにせよ、日米著作権条約が廃棄されることなく、日本と米国は太平洋戦争に突入します。その後戦争が終結し、戦後処理が行われることになります。

 日米著作権条約は、太平洋戦争の戦後処理として、1952年4月28日に発効した日本国とのサンフランシスコ平和条約(以下「平和条約」と言います。)7条(a)による引き続き有効とする通告がなされず、日本国と米国との間でその廃棄が確認されました。

 この日米著作権条約は、いわゆる相互主義を採用せず、相互に内国民待遇(自国民が自国で受ける法的保護と同等の保護。つまり、米国人の創作した著作物に日本人が創作した著作物に日本の著作権法が与えるのと同等の保護を必要とします。)を求めていました。

また、1952年(昭和27年)4月28日に発効した日本国との平和条約7条(a)により日米著作権条約の廃棄が確認されたものの、その後4年間、相互に内国民待遇を維持する交換公文が取り交わされました。

 このように、平和条約12条(b)(1)(ii)、交換公文及び外務省告示により、1956年4月27日まで米国人の著作物について日本国内で内国民待遇が与えられています。

 したがって、同日より前に米国内で公表された米国人の著作物については、本邦において日本国著作権法の保護期間が適用されることになります。


 なお、平成13年 5月30日東京高等裁判所判決(平12(ネ)7号著作権侵害差止等請求、独立当事者参加控訴事件 〔キューピー著作権事件・控訴審〕)は、ベルヌ条約批准による相互主義の遡及的適用を認めず、同様の判断を示しています。

※平成13年 5月30日東京高等裁判所判決(平12(ネ)7号著作権侵害差止等請求、独立当事者参加控訴事件 〔キューピー著作権事件・控訴審〕)より抜粋


  5 著作権の保護期間について

 (1) 明治三九年五月一一日に公布された日米著作権条約は、日米両国民の内国民待遇を規定しており(一条)、その後、昭和二七年四月二八日に公布された平和条約七条(a)により日米著作権条約は廃棄されたが、アメリカ合衆国を本国とし、同国国民を著作者とする著作物に対し、平和条約一二条(b)(1)(ⅱ)及び外務省告示により、昭和二七年四月二八日から四年間、引き続き内国民待遇が与えられるとともに、昭和三一年四月二七日までの間、日米著作権条約が有効であるとみなされた。上記の著作物については、上記四年間の経過と同時に、万国条約特例法一一条に基づき、今日に至るまで引き続き内国民待遇が与えられていると解される。
 一九一〇年ないし一九一二年の間に本件著作物を創作し一九一三年にこれをアメリカ合衆国において発行したローズ・オニールは、日米著作権条約及び旧著作権法により、我が国における本件著作権を取得し、その保護期間は、旧著作権法三条、五二条一項により、著作者であるローズ・オニールの死後三八年とされた。日米著作権条約は、平和条約七条(a)により廃棄されたが、平和条約一二条(b)(1)(ⅱ)、外務省告示及び万国条約特例法一一条により、内国民待遇が継続された。ローズ・オニールは、一九四四年四月六日、アメリカ合衆国ミズーリ州において死亡し(甲6、9)、本件著作権の保護期間中である昭和四六年一月一日に施行された現行著作権法五一条により、本件著作権が著作権者であるローズ・オニールの死後五〇年間とされ、また、連合国特例法四条一項により、本件著作権の保護期間について三七九四日間の戦時加算がされる結果、二〇〇五年五月六日まで存続することとなるから、本件著作権は、現在も保護期間が満了していない。
  (2) 被控訴人は、ベルヌ条約が万国条約及び万国条約特例法に優先するため、本件著作権についても、ベルヌ条約が適用され、万国条約特例法一一条の適用が排除されると主張する。そして、一九〇九年アメリカ合衆国著作権法は、著作権の保護期間は最初の発行後二八年であり、この保護期間経過一年前までに連邦著作権局に対して更新の申請をして登録がされた場合には、更に二八年の更新が認められる旨規定していたから、更新手続が執られたことの証拠のない本件著作物の同国における著作権は、一九四一年に保護期間が満了している。しかしながら、万国条約特例法は、万国条約の実施に伴い、著作権法の特例を定めることを目的とするところ(一条)、同法附則二項において、万国条約特例法施行前に発行された著作物については原則としてその適用がない旨を規定し、他方、同項括弧書により、同法一一条については、同法施行前に発行された著作物についても適用される旨を規定している。また、同法一一条は、平和条約二五条に規定する連合国で同法施行の際万国条約締結国であるもの及びその国民を著作権者とし、平和条約一二条の規定に基づいて旧著作権法による保護を受けている著作物について、引き続き同一の保護を受ける旨規定する。万国条約特例法一一条が平和条約二五条に規定する連合国及びその国民(以下「連合国国民」という。)の著作物であることを要件としているのは、連合国と我が国との間で効力を生じた条約が平和条約七条(a)により廃棄されたためである。万国条約特例法一一条は、平和条約一二条(b)(1)(ⅱ)及び外務省告示により四年間に限り内国民待遇が継続されたものの、平和条約の失効により、それまで内国民待遇を与えられていた連合国国民を著作者とする著作物の著作権が我が国において消滅することを避けるため、万国条約一九条の趣旨及び既得権尊重という一般法理念に基づき、著作権法の特例として、上記著作物について特に内国民待遇を継続してその保護を図ったものと解される。そうすると、万国条約特例法が万国条約の実施のみを目的とする法律であるということはできず、同法一一条は、平和条約一二条及び外務省告示が失効した後において、既得権尊重という一般法理念及び国際信義の観点から、国際法上は保護義務を負わなくなる著作物を引き続き国内法上保護するものというべきであるから、このような万国条約特例法一一条の趣旨に照らすと、同条は、連合国国民の著作物を特に保護する規定として、アメリカ合衆国のベルヌ条約加入の後も引き続き適用されるものと解するのが相当である。
 また、被控訴人は、同一当事国間においてベルヌ条約と万国条約の双方が有効な場合について、万国条約一七条及び同条に関する附属宣言は、万国条約を排除し、ベルヌ条約を適用することを定めていることを主張する。しかしながら、現在、日米両国間の著作権保護について適用される条約はベルヌ条約であり万国条約は適用されないとしても、上記のとおり、万国条約特例法一一条が、その趣旨に照らし、連合国国民の著作物を特に保護する規定としてアメリカ合衆国のベルヌ条約加入の後も引き続き適用されるものである以上、ベルヌ条約が万国条約に優先するからといって、我が国国内法である万国条約特例法一一条の適用が排除されるべきものではない。また、ベルヌ条約は、同盟国間において内国民待遇等の著作権保護を定める条約であるが、同盟国がベルヌ条約の規定を超えて連合国国民の著作権を保護することを禁止するものと解すべき根拠はないから、アメリカ合衆国国民の著作物について内国民待遇を継続する万国条約特例法一一条がベルヌ条約に反するものではない。
  (3) 万国条約特例法一〇条は、同法がベルヌ条約同盟国を本国とする著作物については適用されない旨規定するが、同条は、同法附則二項により、万国条約特例法施行前に発行された著作物である本件著作物への適用が排除されているから、後にアメリカ合衆国がベルヌ条約に加入しても、本件著作物について同法一〇条が適用される余地はないと解するのが同法の文理に合致する。また、保護期間の相互主義を定める著作権法五八条(ベルヌ条約七条(8)の許容するところである。)は、同法二章四節に規定されているところ、同法附則七条は、同法施行前に公表された著作物の著作権の存続期間について、同法二章四節の定める期間より旧著作権法による著作権の存続期間の方が長いときはなお従前の例によると規定しており、著作権法二章四節の規定により旧著作権法の定める保護期間が短縮されることを想定していない。旧著作権法において、ベルヌ条約同盟国を本国とする著作物について著作権の保護期間の相互主義を定めた規定はないから、ベルヌ条約には遡及効がある(同条約一八条(1))からといって、アメリカ合衆国が同条約に加入したことに伴い著作権法五八条の遡及的適用により本件著作権の保護期間が短縮又は消滅すると解することは、同法附則七条の趣旨にも反するというべきである。
 また、アメリカ合衆国がベルヌ条約に加入したことに伴い著作権の保護期間について相互主義が遡及的に適用されると解することは、既に生じた私権について後の法改正により遡及的にこれを消滅させることとなるが、このような法改正は、私権保護及び法的安定性の観点から是認することができず、特に法令に明文の規定を欠く以上、解釈によりそのような結果を招来させるためには、そのような解釈を正当とする十分な根拠を要するというべきである。しかしながら、そのような遡及適用を肯定する解釈は、上記のとおり、万国条約特例法附則二項及び著作権法附則七条の文理及び法の趣旨に反する上、現行著作権法制とも整合しない。すなわち、著作権法は、その施行に際し、特に附則二六条において、万国条約特例法一一条の「著作権法」を「旧著作権法(明治三十二年法律第三十九号)」に改め、「その保護」の下に「(著作権法の施行の際当該保護を受けている著作物については、同法の保護)」を加える改正を行い、万国条約特例法一一条により保護を受けている著作物が現行著作権法の下において引き続き保護される旨を明記する法改正をしながら、同条に規定する内国民待遇と著作権法五八条に規定するベルヌ条約同盟国間における保護期間の相互主義との関係について、特段の規定を置いておらず、そのほか、著作権法の施行及びアメリカ合衆国のベルヌ条約加入に際し、上記内国民待遇とベルヌ条約同盟国間における保護期間の相互主義の調整を図るために特段の立法もされていない。そうすると、私権保護及び法的安定性を犠牲にし、あえて内国民待遇に優先して保護期間の相互主義を遡及適用すべき法令上の根拠も、そのような法解釈を採るべき合理的理由も見いだすことができない。したがって、アメリカ合衆国のベルヌ条約加入により著作権法五八条を遡及的に適用すべきであるとする被控訴人の主張は、採用することができない。

3 戦時加算 

 さらに、連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律に基づき、連合国(
日本国との平和条約第二十五条において「連合国」として規定された国をいう (連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律2条1項))に対しては、「昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日」である昭和27年4月27日までの3794日間の期間、保護期間が加算されます。

連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律4条

(著作権の存続期間に関する特例)
第四条 昭和十六年十二月七日に連合国及び連合国民が有していた著作権は、著作権法に規定する当該著作権に相当する権利の存続期間に、昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。
2 昭和十六年十二月八日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間において、連合国又は連合国民が取得した著作権(前条の規定により有効に取得されたものとして保護される著作権を含む。)は、著作権法に規定する当該著作権に相当する権利の存続期間に、当該連合国又は連合国民がその著作権を取得した日から日本国と当該連合国との間に日本国との平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間(当該期間において連合国及び連合国民以外の者が当該著作権を有していた期間があるときは、その期間を除く。)に相当する期間を加算した期間継続する。

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